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アーミー・オブ・シーブズ / 前人未到の伝説の金庫破りに挑んだ元銀行員

どんなにたぐいまれな知識があっても、どんなに天才的な能力を持っていたとしても、それを発揮できるチャンスに恵まれなければ、ただのそこらへんにいる無名な人と変わりはない。
どんなに技術を磨いていても、それを活かせる環境になければ、ただの自己満足に終わってしまう。
本人がそれで納得しているのなら、それでもいいだろう。
だけど心のどこかでは、自分の能力を試してみたい。
たとえそれが世間では犯罪的なものだったとしても。

セバスティアンは幼少の頃から金庫破りに夢中になっていた。
ひたすら磨き続けた金庫破りの腕前は、誰にも引けを取らないといっていい。
セバスティアンは金庫の中がどうなっているのか、直に見たように感じとることができる。
金庫に触れ、語りかけ、錠前の回転するわずかな音を聞き分ける。
手に取るように金庫の中身をイメージすることができるのだ。
彼の耳はどんな小さな音も聞き逃すことがない。

その腕前を試すチャンスが、あるとき唐突に訪れる。
自身が上げていた伝説の金庫についての動画にコメントが寄せられ、伝説の金庫についての手がかりへと招待される。
彼は好奇心を募らせ、その場所へと赴くことを決める。
彼が訪れた場所では、金庫破りのトーナメントが開催されていた。
誰が一番早く堅牢な金庫を突破できるのか、競い合っていた。
飛び入り参加の彼はわけも分からないまま、しかしその腕前を余すことなく披露し、余裕で優勝を勝ちとる。
セバスティアンはひとときの興奮を味わった。
それは毎日の退屈な日々の中で、彼に刺激を与えた。

彼のたぐいまれな金庫破りの才能に、ある国際犯罪組織がスカウトに訪れる。
彼らは世界的に有名で、堅牢な 4つの金庫を攻略しようとしていた。
そしてそれには、セバスティアンのような天才的な能力が必要だった。
彼はただのしがない銀行員として働いている。
毎日同じルーティーンを繰り返し、客の小言を一日中聞かされ、一人で寂しくランチを食べ、仕事が終われば家に帰り、1日が終わる。
なんとも味気なく、退屈な日々が流れていく。
アメリカではゾンビが徘徊しているというニュースが流れているが、こちらはまだ現実味がなく、遠い世界の出来事のように思われる。
このままこの人生を続けるのか、それとも犯罪行為に手を染めることになるが、夢にまで見ていた伝説の金庫を攻略する冒険へと繰り出すのか。
答えは明白だ。
自分の能力を発揮することができ、伝説と対峙することができるのなら、そのチャンスを掴まない選択肢はない。

伝説の金庫はヨーロッパの銀行に点在していた。
国際的犯罪組織はセバスティアンを含めて 5人だけだった。
だがそれぞれの得意分野を活かして、伝説の金庫の攻略に向かう。
残念ながら、実際に活躍しているのは、セバスティアンと、彼を誘ったスリの美女グウェン、そして天才ハッカー、コリーナの 3人のように感じる。
肉体派の男ブラッドはピンチヒッターのような存在で、巧みなドライブさばきが得意なドライバー、ロルフは、その腕前を実践で見ることはなかった。
とにもかくにも、セバスティアンは伝説の金庫の 3つと対峙し、その天才的な能力で、危なげなく金庫を突破することに成功する。
どんなに複雑で、繊細に、堅牢に作った製作者でも、金庫の構造を見通すことができるセバスティアンの前では、ただの重くて頑丈な金庫に成り下がってしまった。

セバスティアンと行動を共にした犯罪グループは、ブラッドの嫉妬によって、徐々に不協和音オンのを鳴らし始め、逃走のさいにセバスティアンを見捨てたことによる確執が原因で、仲間割れとなり、最終的に解散することとなってしまった。
そして彼らの金庫破りと同時期に、犯罪グループの行動を嗅ぎとったインターポールは、積年の汚名を返上するため、彼らの追跡を開始する。
セバスティアンは、3つ目の金庫を攻略したのちに高飛びすることにしていた。
しかしインターポールの執拗な追跡が行く手をさえぎり、グウェンは自信を囮として、セバスティアンを逃した。

ただの平凡な銀行員が、1日にして犯罪グループの一員となり、憧れの金庫に挑戦し、誰もなし得なかった偉業を達成する。
その裏には金庫に対する情熱と、磨き続けた技があった。
そして突拍子もない非現実的な話に飛び込む勇気が。

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