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バットマン ビギンズ / 犯罪の抑止力となる存在

貧民者に襲われて両親を殺されたブルース。
彼は犯罪者の心理を知るために、あえて過酷な状況に身を置き、人々が犯罪に走る理由を追い求めていた。
そんな時に出会った一人の男。
彼はブルースをヒマラヤの奥深くにある修行荘へと導き、悪と戦うあらゆる方法と力を授ける。
修行では恐れと立ち向かうことで恐怖心を克服し、彼を一人の戦士へと育て上げていった。

犯罪によって大切な者を奪われた人は少なくない。
ブルースを「影の同盟」へと導いたヘンリーも、愛する妻を殺された過去を持っていた。
ヘンリーが所属する「影の同盟」は、復讐こそが悪を滅ぼす唯一の道だと信じていた。
両親を殺されたブルースが住むゴッサムは、犯罪が巣食っている。
まだウェイン夫妻が生きていた頃は希望があった。
だがその希望が絶たれてしまった街は、もはや救いようがない。
であれば、いっそのこと全てを破壊してまた一から作り上げればいい。
ブルースを復讐の権化とすることで、ゴッサムを破壊しようと企む「影の同盟」たち。
しかしブルースは人を殺すことに同意しなかった。
自身も一度、両親を殺した犯人に復讐しようと迫ったことがある。
しかし復讐は次なる悪しか生まない。
復讐の連鎖は悲しみの連鎖となる。
憎しみを復讐で晴らすのではなく、憎しみ自体を生まない方法を探る。
それがブルースのやり方だった。

犯罪が巣食っているゴッサムでは、警察も司法もあてにすることができない。
汚職警官がはびこり、マフィアによって牛耳られた街は、賄賂によって罪が見逃されてしまう。
正義が行われないと市民が感じているのなら、犯罪を根絶することは難しい。
誰かが正義を行わなければならない。
犯罪がきちんと裁かれ、街に秩序を取り戻すことができれば、ゴッサムは息を吹き返すことができる。
その象徴としてバットマンは、悪を見逃さず、必ず裁きを下す正義のシンボルとなれば、犯罪を抑制できるかもしれない。

汚職警官が常態化しているゴッサムの中でただ一人、正義を貫こうとする警察官が一人いた。
その警察官がいたことでブルースは、ゴッサムはまだ死んでいないと思うことができた。
それにブルースの幼馴染もまた、正義を成そうと戦っていた。
希望の光は消えてはいない。
まだ街を取り戻すことができると。
しかし「影の同盟」はゴッサムを破壊することをやめはしなかった。
彼らは幻覚作用を持つ毒を街中に散布し、幻覚と恐怖に囚われた人々がお互いに殺しあうように仕向け、ゴッサムの全滅を狙っていた。
ウェイン夫妻が街の希望として建築した電車を使い、市民の象徴となるウェイン産業の会社を破壊することによって、崩壊をより印象付けるために。

バットマンは悪を憎むも、憎しみにかられて人を殺すことはしない。
人を殺してしまえば、犯罪者と同じになってしまう。
あくまでも犯罪は法によって裁かれなければならない。
犯罪が蔓延するゴッサムを正常化させる、そのための象徴がバットマンという存在なのだろう。

それにしてもノーラン監督のバットマンはとてもスタイリッシュだった。
2022年公開の『ザ・バットマン』とはまた違った趣がある。
なんだか余裕のある大人なバットマン、という感じがした。

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