forgotten

記憶の夜 / 巧妙な錯誤によって騙される

家族 4人で新しい家に引っ越しして、これから新生活が始まると期待していた矢先、尊敬している兄が何者かによって拉致られるという事件が起きる。
目の前で拉致られる現場を目撃した弟のジンソク。
警察に事情を説明するも手がかりの車のナンバーは存在しない。
それから兄が戻ってくるのをひたすら待つ日々が始まる。
そして 19日目、拉致られた間の記憶を失くした兄が戻ってきた。

引っ越しした先の家で、前の住民の物が置いてある部屋から謎の物音が聞こえてくる。
何かの怪奇現象? 心霊現象でも起きているのか? これが兄の記憶喪失とどう繋がってくるの?
絶対に開けてはいけないと父親に念を押されていたジンソク。
でも「開けちゃダメ」と言われたら開けたくなるのが人間というものだから、やっぱり開けちゃうんだろうなぁとか思ってみたり。
ジンソクの目の前で秘密の部屋の扉が開いて、誰かが近づいてくる音がする。
布団をかぶってやり過ごし、物音が消えたから安心して顔を出したら、隣に女の人が立っていて襲ってくる。
というシーンは普通に怖かった。ビビりました。
と思えば夢だったり。
ジンソクは精神症持ちみたいな設定だったから、現実に起こっているのかただの夢なのか分からなくなったりして、さらに想像を掻き立てる。

戻ってきた兄も何か様子がオカシイことに気づいたジンソク。
ここから怒涛の展開が繰り広げられるんだけど、兄は家族の知らない顔を持っていて、裏社会の人間なのか?
記憶を失くしたのは嘘で、足が悪いのも演技。
ジンソク騙されてた?
とか考えてたら、まさかの家族全員が怪しい。
え、本当の家族じゃないの? 意味わからん、って思ってたら、全てが巧妙に作り出された嘘で、21歳だと思っていたらなんと 40代だった!

もう、この時から「面白すぎる!どういうこと!」て一気に引き込まれました。
ジンソクも観ている方も完全に騙されてました。
今までのストーリーの情報の見方が一気に変わる転換点。
ストーリーの構成がめちゃくちゃ上手いんじゃないかと思いました。
専門家でもないからプロが見たらどう思うかわからないけど、韓国映画やドラマってクオリティ高いなって、再認識しました。

最終的にみんな救われない悲劇だった。
ジンソクも両親を失って、唯一生き残った兄を助けるために仕事を探した。
だけど当時韓国の経済は地に落ちてしまって、仕事もままならない。
掲示板で「命をかけて頑張ります」と求人アピールしたことがきっかけで、殺人の依頼が来る。
兄を助けるために他人の命を奪うことになるという皮肉。
自分の意図したわけでもないのに追い詰めてしまって結局殺してしまう。
依頼人からは余計な人まで殺されたから、約束と違うと言って殺されそうになり正当防衛。
もうジンソク悲しすぎるよ。
ただ兄を助けたかっただけなのに。
それから記憶に蓋をしてどうやって今まで生きてきたんだか。

兄を演じていたユソクは、ジンソクから「なぜ殺人をしたのか」その理由を暴くために、催眠術の専門家のアドバイスで事件前に遡り、当時を再現することによって記憶を呼び覚まそうと大掛かりな作戦に出る。
ユソクってジンソクに殺された家族の遺族だったんですね。
父が母親に多額の保険金を掛けていたから、保険金目的でジンソクに殺させたんだろうと踏んでいた。
でも最後にジンソクの単独犯とわかって、やり場のない虚しさに自殺してしまったのかなぁ、もしそうだったら (実際そうなんだけど) 心にケリがついたのかもしれない。

あの時あの場所で、運命は交わっていた。
最後まで魅せてくれる映画でした。

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