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会社は仲良しクラブでいい / 仕事をするなら楽しめないと損

backlogというタスク管理表を始め、チャットツールなど、複数のプロダクションを世に送り出している会社の社長が出版した今作。
他の会社にはないような、自身の価値観や思想を元に運営されている。
社長であり著者の橋本さんは、自身の体験から、みんなが仲良くわいわい言って楽しめるようなグループにしたい、という思いが強かったそうで、それを会社で実現している。
会社といえば、固くかしこまっていて、無機質で面白みもなく、楽しさよりも真面目さ、とう感じで働いていて楽しくない、みんなピリピリしていて話しかけづらい、お互いをライバルだと思っていてギクシャクしている、なんてネガティブなイメージがある。
これはかなり偏った見方かもしれないけれど、個人的には、会社というものは面白くないもの、という印象が強い。
わいわいがやがや楽しく会話しながら、なんていう会社はごく稀なのではないだろうか。

楽しいことが一番

著者の橋本さんは、1日の中で約半分を占める仕事の時間が楽しめなければ、人生の半分を退屈に過ごしながら時間を浪費してしまっている。
それはとっても損なことじゃないか?
どうせ時間を過ごすのなら、楽しく過ごした方が人生楽しんでると思わない?
という感じのことを言っていて、だから自分は楽しめる会社にしたかった、という思いを感じた。
会社というよりも仲良しグループといった方がしっくりくる。
中には、「仲良しグループで会社が務まるか」と感じる人がいるだろうが、きちんと結果を残せるのであれば、楽しい仲良しグループ、クラブの方がやる気も感じられると思う。
楽しいからこそ自分ができることを精一杯やろうと思えるし、人の役に立ちたい、それで感謝されたい、という欲も生まれるのではないだろうか。
仮に褒められたい欲だったり自己満足だったりしても、自発的に動く人が多いのであれば、言われて渋々仕事をやるよりも健全ではないだろうか、とおもうのだ、個人的に。

こちらの会社では、役職はタスクやプロジェクトによって柔軟に変更することが普通なようだ。
リーダーやマネージャーはただの役職であって、その時々でできる人にやってもらった方がスムーズに進む、ということを理解している。
各段階で、その問題に得意な人がリーダーとなって皆を引っ張っていく。また別のタスクになった時は、それに詳しい人がリーダーになる、という感じで、リーダーは流動的に移り変わる方がスピードを持って進めることができる。
マネジメントもその人のトップダウン式だけではなく、メンバーの意見を聞いてより良い方法を考えていく。
マネージャーになった人も、管理職より現場担当 (実際に手を動かす側) が向いていると思えば、役職を降りることもできる。
役職は肩書きではなくて役割だ、という価値観があるからこそ、役を降りるのは決してマイナスなことではないのだ。
そもそも橋下さんの考えでは、担当を用意して人を当てはめるのではなく、まず「人」ありき。
人がいることが先で、担当はあとからでも割り振ることができる。
「何をすべきか」よりも「誰といるか」の方がとても大事。
自分たちが信用できる人と楽しくやれるかどうかが、プロジェクトがうまくいくかどうかにかかっていると言っても過言ではないだろう。

伝わらないコミュニケーション

対人で気をつけなければいけないのは、コミュニケーション。
橋下さんは、人と人とのコミュニケーションは正しく「伝わらない」と思っていた方がいい、という。
人にはそれぞれのバックボーンがあり、経験も人によって違うし、前提条件も人によって違う。
あるキーワードで話していても、Aさんと Bさんで思い浮かべるものが違っていれば、話が噛み合わないまま進んでしまう。
人は皆違うのだから、逆にコミュニケーションがうまくいってくことの方が珍しい、奇跡だ、という気分でいれば、ちょっとした誤解があっても怒らなくて済む。
完全には伝わらない、せいぜい 60%ぐらい伝わればいい、という気持ちで話し、残り 40%ぐらいで新しい発想が生まれるかもしれない、という余韻を持っていると、議論は活性化しやすい。

偏愛家な一匹狼の群れ

知的労働につく人は、何かに秀でている人、何を極めている人、専門にしている人が多という。
そんな人達は自分で「好き」を極めているし、自分でやれてしまえば、会社にいる必要はない。
会社に入れば自分のしたくないこともやらなければならないし、色々と制約もある。そんな不自由から逃れるために独立する人もいる。
やりたいことはある。でも自分一人では限界がある。
そんな時に、できる人とコラボレーションすれば、選択肢は広がってくる。
そんな「一匹狼たち」が「群れ」ることで、わいわい楽しくやれれば、これほど強いことはないんじゃないか。
著者の橋下さんは自分の過去の経験から、「一匹狼」が集まるグループやクラブに所属してきたらこそ、「一匹狼の群れ」という考えに至ったようだ。
何かに突出した「偏愛家」の集まりは、世界を変える力を持っている。
ぼくはいつかに読んだ『フリーエージェント社会の到来』に近いものを感じた。
上記の本では、完全に会社に所属していないフリーエージェントにスポットライトを当てているが、プロジェクトごとに得意分野の人たちが集まってコラボレーションしながら、仕事をやっていく、という姿も描かれていた。
緩やかにつながる人と人の独立した関係性だったが、本書では「会社」というグループに所属している一匹狼たち。
好きを突き詰めて詳しくなった人たちのコラボレーションの視点で言えば、似たような空気を感じた。

何かに詳しいからとは言え、上には上の存在がいる。
自分の中で「強み」だと感じていても、その世界を詳しくなればなるほど、奥が深くて、もっとすごい人がゴロゴロといる。
そんな際限のない「上」を見れば、自分の強みもちっぽけなものに思えてくる。
だから、橋下さんは「強み」よりも「弱み」を見せれる人になったらどうか、と提案している。
「弱み」を人に見せるのは勇気がいる。でも一度見せてしまえば、自分の苦手なことは、他の人が得意かもしれない。
他にできる人が助けてくれるかもしれない。
逆に自分が得意なことで、他の人を助けてあげることもできるだろう。
パズルのピースのように、穴が空いているところをできる人が埋めていくような世界、お互いを信用しているからこそ任せられる世界、それが友情に変わっていく世界、仕事で友情を感じて楽しめるような世界を作れれば、人生が楽しくなっていくはずだ。
そんな風な思いを感じる仕事論? だった。
こういう会社で働いてみたいよね。

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