life-shift

LIFE SHIFT / 100年時代を生き抜く人生設計

人間の寿命はますます伸びている。
若い世代になればなるほど寿命は伸び、人生 100年時代に達したらしい。
幼児期の子供の死亡率が減り、医療技術や保険制度などの充実で病気も治りやすくなり、高齢者にも介護の手が差し伸べられている。
70代ともなれば腰が曲がり杖は必須で歩くのもやっと、という印象が強かったが、今では 70代でも元気に行動力あふれる人も多くなった。
若いもんには負けん、という高齢者も多い。
それだけ人間は健康に歳をとることが可能になり、寿命が伸びるのも自然の成り行きといえる。
個人的には人生 50年ぐらいで、まだ若いうちにサクッと死ねればいいという考えがあった。
自分で自分の世話ができなくなって、ヨロヨロしながら老いさらばえていくぐらいだったら、早めに死にたいと思っていた。
まあ自分が高齢化してシワが増えて、体力が減るのを実感したくない、という理由からだけれども。
しかし残念ながら? 幸運にも?
そう簡単に自然死せず、長生きする確率のほうが高いようだ。
寿命が伸びることについて「やった!」と思う人はどれだけいるのだろうか。

寿命が伸びるということは、それだけ生きることにお金がかかるようになる、そしてお金を稼ぐためにはその分働かなくてはならなくなる。
定年退職は 60歳だったが、今や 65歳になり、いずれ 70歳になるだろう。
定年退職したあとも、資金がなければパートなどで働き続けなければならない。
寿命が伸び、70歳で退職したとしても、100年ライフでは余暇時間がまだ 30年もある。
30年遊んで暮らせるのなら大したものだが、年金だけでは食べていけないし、企業年金や退職金は若い世代になるほどもらえなくなってくるだろう。
退職後に資金の心配をしないためには、現役時代に貯蓄をし始めないと間に合わない。
『LIFE SHIFT』では貯蓄率についても触れられているが、今から計画的に人生のライフプランを考えなくてはならない。

本書ではお金、健康、労働、キャリア、人間関係など、様々な面から多角的に 100年生活を検討している。
それらの前提にあるものは、今までのライフプランは通用しなくなってくる、というものだ。
父親世代までは「教育→労働→引退」という 3つのゾーンに分かれていた。
だが 100年時代になると労働に占める割合が極端に増えすぎてしまう。
するとどんな弊害が起きるのか。
社会はグローバル化し、テクノロジーは進化をやめず、世界は日々刷新されるスピードが増している。
それに伴い必要とされる人材は年々変わり、必要とされるスキルも高度なものになっていくだろう。
企業も興亡の耐用年数が短いスパンになっている。
一つの会社に勤め上げる時代は終わり、自分のスキルを高め時代に必要とされる人材にならなければならない。

そんな中で労働期間が長くなるのだ。
新しいスキルを学ぶ時間、新しい人的ネットワークを築く時間、新しい分野に挑戦する活力など、自分に投資する時間を確保しなければ、古い技術と知識のままでは時代に置いていかれ、市場価値を無くしてしまい、仕事に就けなくなる危険性もある。
低賃金しか選択肢がなくても、今はロボット化、自動化の波が押し寄せている。
定型化されて誰でもできる仕事は機械に仕事を取られてしまう。
そうなると残るのは高スキルか単純作業か、両極端になってしまう。
今はまだ無くならなくても 20〜 30年後はどうなるか分からない。
惨めな人生にならないためには、今から自己投資を続けなければならない。
機械化は生活においては便利になるだろう。
だが仕事においては脅威になるし、生き残りをかけたサバイバルにもなる。
何かしら特化したスキルがなければ市場から見向きもされなくなる。
こんな怖い話があるだろうか。
特にスキルを磨いてきてないぼくは戦々恐々としている。

著者は資産には 2つの種類があるという。
一つはお金という有形資産。形に残るもの。
もう一つは無形資産で目には見えないもの。
つまりスキルであったり健康であったり活力であったり。
そして大事なことは、変身を遂げる能力。
興味はその時時によって対象が変わり、必要となるスキルも変わってくる。
新しいことを学び、新しいことに挑戦するには、ずっと働くばかりでなく、休息期間をおいて自己投資し、また別の労働に就く、ということも考えられる。
そのときにスムーズに変身を遂げられるか。
一度立ち止まり、人生を再構築し、新たな一歩を踏み出す。
長い人生だからこそキャリアプランを変更することも柔軟にできる。
変化の激しい時代には、自己投資をし続けなればならない。
そして働き方も変わってくるだろう。
一つの企業に勤め上げるのではなく、転職が増えるかもしれないし、自分で起業する可能性だってあるし、無形資産を築くために仕事を辞め、旅に出たり世界を観察する時期もあるかもしれない。

「教育→労働→引退」という画一的な人生は終わった。
教育と労働のサイクルを何度も回し、自己投資を続け、人それぞれの生き方、働き方を選べるようになる。
もはや年齢によって人生の立ち位置を判断する時代は終わりを迎える。
それぞれがそれぞれのスピードで転身していく。
否応なく寿命は伸びていく。
それに伴って考えることは多くなる。
社会や政府や制度が時代の変化に対応するには時間がかかるだろうが、自分の人生のライフプランは自分で考えなければならない。
ある意味自己責任が重くのしかかる。
充実した人生にしたければ、動き出さないといけない。
それも少しでも早く。今からでも。

本書は内容が濃すぎて一息には語れない。
なにせ考えることが山のようにあるからだ。
再読中だけれど、定期的に読み直す必要がありそうだ。
例として取り上げられているライフステージは参考になる。
特にエクスプローラー (探索者) とインディペンデント (独立) 。
旅して生きたい自分には、この 2つがとても魅力的だった。

その他の記事