morbius

モービウス / コウモリの能力によって進化した人間の形

今年公開されたスパイダーマンの最新作。
その予告映像に流れたきた『モービウス』が面白そうだったので、「これは是非観てみたい!」と思っていたのですが、公開されてすぐに観に行ってきました。
ダークヒーロー的な感じですが、もとは医者で、自分の欲求のために人を殺すのは道義に反する、人を殺すくらいなら、自分が死んだ方がマシだ、というほどの正義感と倫理観を持っている主人公だった。

モービウスは、幼い頃から病気に見舞われ、松葉杖なしでは歩けないほどだった。
担当医に地頭力の高さを見出された彼は大学へと進み、自身の病気を治すために医学の道を進んだ。
彼が開発した人工血液によって、同じ境遇にいる多くの患者の命を助けることにも貢献した。
しかし彼は、病気の根本的な解決を見出すために、彼はコウモリの DNAと人間の DNAを結合させようと考えた。
マウスを使った臨床実験を成功させた彼は、自身の体を実験体にすることで、治療法を見出そうとする。
しかしこの実験が、思いもかけない結果をもたらすことになる。

モービウスは、コウモリの DNAを取り込んだことにより、風の流れを読みとったり、驚異的な聴力を獲得し、超音波による空間把握ができるようになり、オリンピック選手以上に身体能力が向上した。
痩せ細っていた身体も筋肉隆々になるなど、想定以上の効果が見られ、実験は成功したかに思われた。
しかし良い面もあれば、悪い面もある。
コウモリが好む血液を体が求めるようになり、極度の飢餓感に襲われれば、本能が顔を出し、凶暴な怪物へと変身し、人間を襲い、血を吸いとってしまう。
まさに凶悪なヴァンパイといったところ。
だがヴァンパイアと違っている点は、太陽が降り注ぐ光の中でも活動することができるということ。
彼はこの能力によって不本意にも人間を殺してしまい、自分はとんでもないことをしてしまった、人に危害を加えるくらいなら、逮捕されて牢屋にいた方がマシだ、いっそ自分が死んでも構わない、と罪悪感に苛まれる。
人を殺さない方法として、人工血液を摂取するも、効果が切れる時間は刻々と短くなっており、このままでは人に害を与える存在になることを恐れていた。

力を手に入れたことを後悔し、なんとかコントロールしなければ、と自制心を働かせるモービウスに対して、
強力な力は進化の証だ!
今まで病気によって抑圧された欲求を解放できる!
自分の望むままに生きることができるんだ!
と自由を謳歌する者もいる。
親友のマイロは、モービウスと同じ病気を患っていた。
彼はモービウスが開発した新薬の力に魅入られ、無断で使用してヴァンパイアへと変身した。
ヴァンパイアの力を手に入れた彼には恐れるものはなく、自分が生き続けるためには、人間を殺すことも意に介しない。
それが力を持つ者の特権だと受け入れているのだ。
しかしモービウスはもともと医者であるし、人の命を助けるため、という使命を抱えているので、自分の欲求のために人を殺すことは道理に反すると、強く反対する。
この相反する思想のために、親友だった彼らは、お互いに牙を剥くことになってしまう。

マイロはモービウスのことを心から信頼していたに違いない。
病気を治療する研究のために資金援助をして、必ず親友が治療法を発見してくれると心待ちにしていた。
そしてモービウスが治療法を発見したにもかかわらず、自分に共有することなく追い出されてしまったこと、いつまでも一緒に居られると思っていたのに、目指す道が分かれてしまったことで、友情が憎しみに変わってしまった。
一番近い人間だからこそ、裏切られたときの衝撃は大きい。
新薬は世に出せないほど危険なものだった。
人の命を救うはずの薬が、人の命を殺すものになってしまった。
モービウスは数々の患者を診てきたらこそ、世に広めることができない新薬を黙って使われ、自分の快楽のためだけで満足しようとした親友を、見逃すことはできない。
自分の医者としても使命を全うするために、親友を殺す決断を下したのだろう。
自分のことしか見えていなかったのか、他人のことまで見ようとしたのか、立場の違いや今まで見てきた景色の違いが、その人の立ち位置と価値観に差が生まれてしまった。
その結果が友人との決裂につながったのではないか。

それにしてもモービウスの最初のガリガリ具合と、ヴァンパイアに変身してからの筋肉隆々具合には驚いた。
顔も血行が良くなって、まるで別人のような顔立ち。
体型の差によって、こんなにも人の印象は変わるものなんだと。
そして獣化した顔と剝きだす時の牙が、残忍性を醸し出していて、いろんな顔の表情にも注目でした。

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