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パラサイト 半地下の家族 / 貧者の身に染み込んだものは一生取れない

貧しい者が生きていくには、それなりの戦略が必要になる。
そして戦略の一つに、富める者に寄生する、という方法がある。
だが彼らに近づくことはそう簡単にできない。
ほぼ地下で暮らしているような人間が、街を見下ろすような坂の上に住んでいる人間と出会うことなど、普通ならありえない。
何せ住んでいる世界が違いすぎるのだから。
貧しい者が、貧困の世界から逃れるためには、どんな些細なチャンスも逃してはならない。
特に富める者に近づくチャンスがあればなおさらだ。
キム・キウはそんな希少なチャンスを、友人によってもたらされた。
自分が留守をしている間、代わりに家庭教師をしてくれと頼まれる。
教え子は実業家で裕福な家族の娘だった。

母親に見守られながら娘と面談し、母親に認められたキウは、正式に家庭教師として赴くことを許される。
その家族には小学生ほどの息子がおり、家政婦と両親は手を焼いていた。
キウは実力のある良い指導者がいると提案し、姉のキジョンを紹介する。
さらに実業家パク・ドンイクお抱えの運転手を虚偽の罪で追放させ、キウの父親ギテクを代わりに据える。
味をしめたキム家は、長年使えてきた家政婦を追い払うために策を呈し、母チョンスクを後釜に据えた。
キム・キウが家庭教師として出入りするようになってから、パク一家の動向を探り、知人の紹介として家族を一人ずつ招き入れ、今までの使用人を総入れ替えさせてしまう。
富者からの多大なる給与で生活を一変させたキム一家。
このまま順調に寄生し続ければ、今後は安泰のはずだった。

身なりを取り繕えば、貧しい者と富める者の見分けは難しい。
しかし、住む場所によって蓄積されたものは、簡単に隠せるものではなかった。
半地下に住み続けたことで、知らぬ間に身体に染み渡ったものがある。
本人は慣れてしまって気付かないことも、別の世界の人間からすれば、その異様さに反応してしまうものが。
生活の積み重ね方によって、富者と貧者の間には目に見えないけれど、確実な差が生まれてしまうのだ、と唸らずにはいられなかった。

チャンスを生かすことができれば、貧者にも現状を抜け出す見込みはある。
問題はチャンスが来た時に、それを掴み取ることができるか。
そもそもチャンスが来てもいいように準備ができているのか。
何がキッカケになるかわからない。
だから普段から爪を、牙を、技を、磨く必要がある。
いろんなところに種を撒き、伸び代があるものに投資し、育てる。
育てたからこそキウは、友人から話を持ち込まれることができた。
この映画で注目するポイントではないかもしれないが、深読みしてしまった。

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