sweeney-todd

スウィーニー・トッド / 復讐の計画が奇妙な悪行へと発展する

弱き者の逆襲

世の中には 2種類の人間がいる。
他人を踏みにじる者と、踏みつけられる者。
踏みにじる「上」の者は、その特権階級と権限を利用して、「下」の者から全てを取り上げる。
「下」の者はただなす術もなく、抗うことができない。
世の中はいつも強者によって支配されている。
ベンジャミン・バーカーも、そんな上にいる人物の犠牲になった。
彼は美しい妻と、幼い赤子の 3人で幸せに暮らしていた。
しかし彼の妻の美しさに惹かれたフリート街の判事は、バーカーの妻を自分のモノとするために、バーカーを流刑に処し、妻を欲望を満たすために辱めた。
残された赤子は判事の養女として迎え入れ、自分の子供のように育てていた。

15年という長い年月を経て、彼は「スウィーニー・トッド」と名前を変え、忌まわしいフリート街に戻ってきた。
彼はあの時の屈辱を片時も忘れることなく、自分たちの人生を踏みにじった判事に復讐することだけを誓っていた。
バーカーがかつて住んでいた建物は、パイ屋に変わっていた。
パイ屋の主ラヴェット夫人が作るパイは最悪なもので、具材はまずく、虫が這い回り、客は誰も寄り付いていなかった。
ラヴェット夫人は復讐に戻ってきバーカーの企みを利用して、思わぬ名案を思いつく。

殺人と料理のコラボ

バーカーは判事だけを殺せばそれでよかった。
でもラヴェット夫人の名案に乗って、上の者たちへの復讐へと目的が取って代わった。
理髪師である彼は、髭剃りにきたお客たちの首を次々とナイフで掻き切り、ラヴェット夫人は殺された死体をミンチ状にして、パイに焼き上げてお客さんに振る舞った。
人肉を食べていると知らないお客は上質なパイに群がり、ラヴェット夫人の店は大繁盛となる。
下の者はいつも上の者に奉仕してきた、これからは下の者に上の者が奉仕をする番だといって、彼らは上流階級の人々を次々と殺していく。

バーカーはラヴェット夫人から、妻のその後の話を聞かされた。
判事によって辱められた妻は、悲しみから毒を飲んだという。
バーカーは彼女がとっくに死んでしまったと思い込んだ。
しかし彼の妻は生きていた。
顔は醜くなり、当初の美貌は失われ、今では物乞いとなっていた。
彼女によって自分たちの悪行をかぎとられたバーカーは、口封じのために彼女を殺してしまう。
だが彼は気づいてしまった。
自分が殺したその死体が、かつての妻であることを。
彼は騙されたことに憤慨し、ラヴェット夫人を殺す。
だがバーカーも、夫人を殺された者の復讐に落ちる。

復讐の結末

この映画は復讐に始まって復讐に終わる。
最後にバーカーは妻の亡骸とともに死に絶える。
殺されてしまったものの、彼としては判事の復讐を遂げられたので、当初の目的は果たされたのだろう。
だが色々と後悔が残る終わり方だったように感じる。
かつて妻だった者の姿を認めることができず、自分の娘と気づかなかったバーカー。
陰鬱で暗く、悲しい物語。
映画では語られなかったけど、アンソニーは無事ジョアナと駆け落ちすることができたのだろうか。
この悲劇的なストーリーの中で、唯一の希望といえるのは、この 2人が無事に新たな人生を送れるようになることだろう。

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