the-art-of-marketing

The Art of Marketing / 技術として仕組み化することで最適化できる

「The Art of Marketing」とは、「孫子の兵法」の意味に似せて名付けた意図があるらしい。
「孫子の兵法」を英語に訳すと「The Art of War」となるようで、約2000年も前に作成された『孫子の兵法』は、戦争の技法をまとめられており、現代においても一部の手法は有効な手段として用いられているようだ。
本書での解説されている「パーセプションフロー・モデル」というマーケティングの技法は、数十年、数百年経っても有効な技法として残り続けるポテンシャルを秘めており、時代にあった技法を取り入れながら進化していってほしい、これからのマーティングの定石となり、工夫と改善を重ねながら、より精錬されいってほしい、という著者の願いが込められている。

マーケティングの全体設計図を描く

このパーセプションフロー・モデルというマーケティング技法はアメリカで提唱された技法のようで、著者が実戦で試しながら本書の形に落とし込んできたようである。
このパーセプションフロー・モデルの特徴は、消費者の認識 (パーセプション) の変化を中心に据えたマーケティング活動の全体設計図を描くこと。
製品、価格、流通・店舗、施策などの 4Pが図式としてまとめられ、核活動が的確に配置され、連携し、全体最適を実現するのに有効のようです。
パーセプションフロー・モデルは、現在の消費者の行動や認識を前提として、これからどのように変化していくか「未来の消費者行動」を描いていくこと。
マーケティングの流れを全て網羅することによって、プロジェクトに関わる全ての人と共通の認識を合わせることができる、という点が一番大きな点ではないだろうか、と感じる。
この全体の流れには各フェーズ (現状→認知→興味→購入→試用→満足→再購入→発信の 8つの標準的な段階) があり、最終的には、消費者のブランドに対する認知度に合わせて、どのようにアプローチしていくか、どのような広告媒体を使うのか、行なった施策に対してどんな反応があったか、反省点は何かなど、マーケティング活動の全てを一つにまとめていくこと。 

プロジェクトにはたくさんの人が関わり、複数の部署が関わることになる。
人が増えれば増えるほど統制をとるのは難しくなり、部分最適化に陥りやすく、連携も取りづらくなる。
しかし、全体の流れが作られており、「このプロジェクトはどのような目的で行われるのか」「どのような施策を行うつもりなのか」が一目でわかれば、自分たちの部署は成果を最大化させるためにどんなことをやればいいのか、が把握しやすくなる。
また最終的な目的がわかれば、方策にブレがなくなり、大事なことに集中することができる。
もちろん、途中で見込みが甘いとわかれば、各フェーズを見直して修正する必要もある。
フェーズの前後関係がわかれば、修正した時にどんな影響があるかも把握することができる。
一度決めたらそれで終わりではなく、目的を達成するための方向転換が必要な場合でも、全体の流れを踏まえた上で舵を切ることができる。
パートナー企業同士でも、何をどんな風に行うかが把握できれば、何を担当すれば良いか役割を理解しやすく、見当違いなことに費用な時間をかけなくて済むようにもなる、というメリットもあるようだ。

暗黙知から仕組み化へ

実際にパーセプションフロー・モデルを構築しようとすると、たくさんの方面から考えることが多いんだな、という印象があって、正直一回読んだだけでは把握することは難しい。
実践で行いながら思考の訓練もしていかなければ、身につくのは難しいだろう。
しかし、消費者のことを考えることはマーケティングの原則だ。
消費者の行動、心理を中心にした考え方、組み立て方、実行の仕方がわかるようになると、どこに行っても、どんなプロジェクトでも応用することができるので、スキルとしては一生ものだと感じる。
この技法は個人だけでなく、企業としても知識と経験を蓄えれば、財産となることは間違いないはずだ。

マーケティングとは「市場創造」をするための全過程である。
マーケティングとは個人や組織の経験値がモノを言うと思われていた。
しかし、「普遍性の高い仕組み」と「実践性の高い働きかけ方」がわかれば、どんな人や組織でも訓練すれば扱えるようになる。
仕組み化するとは「プロセスを作ること」。
成功理由を抽出し、再現できるような仕組みやプロセスを作り、失敗からは繰り返さない工夫のプロセスを作ること。
マーケティングとは経験則ではなく、仕組みの理解とやり方の技術としてまとめることができるフローなのだ、というメッセージ性が込められている。

その他の記事