the-bourne-legacy

ボーン・レガシー / 情報漏洩が招く工作員の悲劇

前作『ボーン・スプレマシー』では、内部告発により CIAの独断的作戦が新聞記者に暴露されたことで、CIAは情報の漏えいを防ぐために、新聞記者を暗殺する。
しかしジェイソン・ボーンが後を引き継いだことで、彼の経歴と、過去に携わった任務が公となった。
彼が行なった情報漏えいは、CIA組織だけでなく、他の工作員にも影響を与えることなる。
今作はボーン・シリーズのスピンオフといったところ。

CIAには「トレッドストーン」と「ブラックライアー作戦」を含めた 4つの極秘作戦が進行中で、これらの情報も漏れてはまずいと、任務についていた工作員を次々と殺し、証拠の隠滅に当たる。
工作員は組織から 2種類の薬を定期的に摂取するように促されていた。
この薬はフィジカルとメンタルを向上させる薬で、工作員たちはこの薬に依存していた。
この 2種類の薬のおかげで、工作員たちは人間以上の能力を発揮できていた。
薬に含まれていたウイルスは遺伝子と結合し、半永久的に効果が持続するといわれている。
しかし青色の薬を摂取しなければ精神が崩壊するらしい。
ボーンも含め、精神が錯乱するのは、この薬のウイルスによる副作用だったのだろう。

CIAはこの依存症を利用し、致死性の薬を混ぜることで、秘密裏に工作員を殺してしまう。
さらに薬の存在も消してしまうために、研究に関わっていた科学者たちを、潜り込んでいたスパイによって次々と殺していく。
CIAは、自分たちに都合の悪い情報は容赦なく消していく。
たとえ身内の者であっても、不要となれば処分する。
まさに血も涙もない冷徹な組織だ。

研究所での殺戮事件で生き残った科学者のマルタだったが、CIAは彼女を見逃すはずもなく、捜査官を送り込み自殺に見せかけて殺す手配だった。
しかしそこに工作員のアーロンが助けに入る。
彼は CIAに殺されるはずだったが、なんとか生き延びて、薬の効果が切れる前にマルタから受け取ろうと訪れたのだった。
あいにくマルタは薬を持っておらず、製造所は地球の裏側、フィリピンにあると知り、アーロンはウイルスを投与するためにフィリピンへと向かう。

CIAの極秘作戦に参加した者たちは、あくまでも「参加者」であって、公式の工作員ではなかったのだろうか。
公式な存在ではないからこそ、生かすも殺すも組織の判断次第だったのだろうか。
とすれば過酷な訓練に耐え、薬に依存してまでアメリカのために命を張っていたのに、薄情な扱われ方をするのは不憫だ。
でもどんな状況でも生き延びる術を磨いてきたからこそ、組織に裏切られても自分で生きていけるんだろう。
都会でぬくぬくと暮らしている人たちがアラスカで自分を追い込んで鍛えている工作員に敵うはずはない。

その他の記事