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ザ・コール / 過去から鳴り響く電話は現実を塗り変えてしまう

過去の出来事を書き換えることによって、不幸な事故で亡くなった人を存在させたりとか、逆に不都合な人を消して、存在を消滅させたりできるとしたら。
過去にアプローチできることは、未来に投資することと、同じような影響力を持つことになるでしょう。
しかし、過去の出来事の書き換えを、自分が直接下すことができず、第三者の手に握られているとしたら。
その人次第で、自分の過去が書き換えられ、現在の在り方が変わってしまうとしたら。
自分がコントロールできない、自分の運命を握られているというのは、考えただけで恐ろしくはないでしょうか?

キム・ソヨンは田舎に帰省途中に、携帯電話をなくしてしまいます。
実家にあった古い黒電話をとりだし、自分の番号に電話をかけ、拾ってくれた人に返してもらうよう懇願します。
折り返しの電話を待っていると、謎の女性から助けを求める着信が入る。
間違い電話かと思ったが、事態は切迫しているようだ。
そして不思議なことに、それは 20年前、今の家に住んでいた住人オ・ヨンスクからの、助けを乞う電話だった。
ヨンスクの母親はシャーマンで、このままヨンスクを生かしておけば、大量の死者がでると案じ、ヨンスクを殺すつもりでいた。
現在のソヨンは、インターネットで過去の記事を発見し、ヨンスクが殺されてしまうことを本人に伝えた。
その事実を元に、ヨンスクは母親を殺し、過去を書き換えてしまう。

ソヨンは、20年前に父親を事故で亡くしていた。
死ぬはずの命を助けてもらったヨンスクは、起こるはずの事故を未然に防ぎ、過去が書き換わったソヨンのもとには、何気ない顔で暮らす父親の姿があった。
幸せに包まれたソヨンだったが、一方でヨンスクは、母親を殺害したことを知られる危機に直面していた。
罪から逃れる方法をソヨンに尋ねるも、彼女はその恐ろしさに恐怖し、拒絶してしまう。
この時、ソヨンとヨンスクの間に亀裂が入り、ヨンスクの暴走が始まる。

過去にいる人物は、圧倒的有利です。
事故で亡くなったはずの父親が、忽然と姿を表す。
そして今までいたはずの人物が、忽然と姿を消す。
さも最初からいなかったように。その事実を目の前で直視して、まるで自分の人生を握られているような感覚を覚えるのではないでしょうか。
しかも自分ではなすすべがないのです。
過去の暴挙の被害を、無力にも受けるだけ。
過去が変わっていく現実にどうすることもできない自分。
とてつもなく面白く、とてつもなく恐ろしい。

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