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ドラゴン・タトゥーの女 / 少女の失踪事件が痛ましい過去を暴き出す

天才ハッカーと記者が挑む失踪事件

実業家の裁判に敗訴した新聞記者のミカエルは、無一文になってしまった。
しかし、彼の高い調査能力を買ったヘンリック・ヴァンカーは、自身の家族が失踪した事件を調べて欲しいと依頼する。
その見返りに多額の報酬と、くだんの実業家の情報を与えるという条件で。
有益な情報が手に入るならば、という理由と、複雑怪奇な少女の失踪事件に興味を持ったミカエルは調査へと乗り出す。
ミカエルは、自分一人では情報が多すぎて手に余ると感じて、自身を調べ上げた優秀な女性をアシスタントとして雇い、共同で事件の真相へと迫っていく。

ミカエルとリスベットの調査方法は真逆な気がする。
ミカエルは新聞記者とあって、実地を訪ね歩き、実際に人に会って話をしながら核心に近づいていく。
対してリスベットは、対人関係が苦手な分、ハッキングや資料をもとに粘り強く真相を洗い出していく。
どちらも優れた探偵のようで、それぞれのやり方で犯人に迫っていく。

リスベットは人に愛想を見せないとても内向的な性格。
12歳で父親を殺そうとした過去があり、精神病院にも入院していた。
親身にしていた保護観察官が病気によって植物状態になり、後任の監察官は、リスベットの弱みに付け込んで性的関係を結ぶ変態野郎。
生きていく上でお金が必要な彼女は、監察官によって金銭を管理され、お金が欲しければ奉仕しろと迫る。
弱みに付け込み自分の欲求を満たすことしか考えていない監察官は、リスベットをいいカモだと勘違いし、お金を渡す代わりにレイプを行う。
しかしリスベットは芯の強い女性だった。
権利や立場を利用して、弱者を食い物にする人間を放っておくことはしない。
だから監察官にはきちんと復讐した。
目には目を、なのだ。
彼女には女性が虐げられる気持ちがわかっていた。
だからミカエルが女性の殺人事件を調べていると聞いて、犯人に制裁を加えるためにも、すぐに引き受けたのだろう。

忌まわしき家族の秘密

消えた少女のヴァンガー一族にはナチスを支持する人物がいたらしい。
事件を追っていく中で、過去に殺害された女性たちは聖書に書かれている贖罪の方法で殺されていた。
そして対象となった少女性たちには、ドイツ人が含まれていた。
事件が起こったのは 1940〜 1960年代ごろ (だった気がする) 。
第二次世界大戦のホロコーストの影響が残っており、ユダヤ人狩りの意味も込めて、彼女たちが殺されたのだろう。

さらにこのヴァンガー家は、親近相姦も行なっていたらしい。
性的趣向が歪んだ父親によって、子供たちはおもちゃにされていた。
ハリエットは父親を殺したものの、その場面を兄によって目撃され、今度は兄弟間でレイプが行われるようになる。
ハリエットはその現実から逃げ出し、ロンドンへと向かったのだった。
リスベットといいヴァンガー家の餌食になった女性たちといい、女性たちがいたぶられ弄ばれる生々しい現実を突きつけられる。
これは女性への迫害がテーマになっているんだろうか、という感じがしないでもない。

切ない友情

ミカエルが依頼された少女失踪事件の真相。
もしかしてリスベットがその少女と関係しているのでは? なんて考えていたんですが、全然違いました。
というか年齢的にリスベットは若すぎて、年代が違っていましたね。
どんな風にミカエルとつながっていくのかと思っていましたが、共同で少女失踪事件を調査する仲になる。
そして親近感を持った彼女は、ミカエルに体の関係を持つようになる。
ミカエルはミカエルで、編集長とデキているんですが、そこは大人の関係であり、また知らなければいい事情でもある。
ミカエルにとっては事件の間だけ組んだ仲間であり、事件が解決してしまえば、一旦の区切りをつける。
でもリスベットにとっては恋心が芽生えた相手で、これからも一緒に入られたら、と思って、ちょうどクリスマスの時期だし、プレゼントを渡して想いを、と思っていたけれど、ミカエルの事情を察して散っていく想い。
せっかく友達ができたと報告できたのに、彼女にとっては苦い過去となってしまうところが、切ない終わり方でした。

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