the-godfather

ゴッドファーザー / マフィアの抗争から生まれた世代交代

「ゴッドファーザー」という名称は名前かあだ名かと思っていたんですが、全然そんなことではなくて、「名付け親」ということらしい。
もっと正式にいうと、キリスト教( 特にカトリック) 文化において、洗礼式に選定される代父母のことであり、その後生涯にわたって第二の父母として人生の後見を担う立場である人のことを指すそうです。
たしかに劇中でも「名前をつけた」とか「名付け親になってくれ」だとかいうやり取りがあって、実際に洗礼式の場面も流れたりしていた。
そこで名前をつける立場にある人が「ゴッドファーザー」という立ち位置になるんだな、と勉強になった。

ゴッドファーザーとして親しまれていたヴィトー・コルレオーネ (通称ドン・コルレオーネ) は、コルレオーネ・ファミリーとして君臨していた大勢力のマフィアの親分だった。
彼は多くの手下たちや、名前を授けた複数の息子たち、政治家たちとのつながりなど、多くの関係者を従えており、何か問題が発生した時にはヴィトーのもとを訪れ、助けてくれるように懇願する。
映画の冒頭では、娘がタチの悪い男たちに絡まれ、顔をボコボコにされる大怪我を負い、娘を悲惨な目に合わせた輩に服して欲しい、という父親の懇願のシーンから始まる。
その裏では結婚式が行われていては焼かなシーンなのに、裏ではマフィアたちが穏やかならぬ話をしているなど、華やかさと暗さの対比が際立つ演出だった。

マフィアは身内の者には忠誠を誓わせるし、上下関係も厳しく、貸し借りをきっちりすることで信用関係を結んでいく。
危険なことが関わってくる以上、お互いを信じられるかどうかが、自分たちが生き残るためには重要な要素となる。
逆に信用が崩れてしまった時には、容赦ない制裁が与えられる。
それがマフィアグループ同士ともなれば、血で血を洗う抗争へと発展していく。

麻薬が抗争のきっかけに

ヴィトー・コルレオーネのもとに、新しい稼ぎ種として麻薬を取り仕切ろうという話が持ち上がった。
ヴィトーの息子ソニーは、いい話だと思って相談するも、ヴィトーは絶対に麻薬は取り扱わないと宣言する。
しかし他のグループは麻薬にお金の匂いを感じるので、どうにかして麻薬で利益を上げたいと思っている。
だが、マフィアのドンが反対している以上、取り扱うことができない。であれば、この機会にドンを殺し、勢力を塗り替えて自分たちの思い通りにしようと企む反勢力が暗躍し、ヴィトーを銃撃するという暴挙に出る。
銃撃されたヴィトーは生死の境をさまようも、命はつなぎとめていた。
父親を襲撃されたアンダーボス (第二のボス) のソニーは、反旗を翻したファミリーのメンバーに復讐するなどして、抗争をより激化させていく。
息子を殺された相手のボスを怒らせたソニーは、結局逆鱗に触れて銃殺という悲惨な最期を遂げることになる。

ヴィトーには軍隊上がりの 3番目の息子マイケルがいた。ヴィトーは彼のことを可愛がっており、マフィアという危険な世界を継がせる気がなかったように感じられる。
本人も元々その気がなかったはずだが、父親が襲撃され、関係者を始末するために初めて人を殺すことになった。
これが彼の転機となったのはいうまでもなく、ソニーが殺されてからは実質ナンバー 2となり、ドンのヴィトーが亡くなってからは、ファミリーの 2代目ドンに就任するまでになる。
マイケルは非常に頭がキレる人物で、ソニーのように激情にかられることもなく、知性で潮の目を読んでいく。
マフィアの抗争は、ヴィトーが回復してからは一時的に休戦になったものの、ドンが亡くなればその後釜を狙って勢力争いが巻き起こることは目に見えている。
マイケルは他のファミリーのドンが仕掛けてくる前に、こちらから邪魔者を掃討するべくファミリーのドンを全て抹殺し憂いを立つなど、最初の頃とは打って変わって非情な男へと激変していく。

マイケルは彼女がいるにも関わらず、避難先のコルレオーネ村で一人の女性を見初め、結婚まで至ってしまう。
おそらく最初はそこで雲隠れしつつ、結婚相手と一緒に暮らしていく気でおり、元カノのことは忘れようとしていたのかもしれない。
しかし、敵の追っ手が迫り、妻が殺されたことで街に戻ってきたマイケルは、放置していた元カノに会いに行って、愛している、一緒になろうと言って関係を継続させる。
音沙汰もなく放置位していた彼女の元に何気なく戻り、妻が殺されたのにすぐに気持ちを切り替えるなど、非情なのか冷徹なのかそもそもそういう性格なのか。
大人しそうで誠実そうな見た目をしているのに、意外と内面はタフな男。
だからこそマフィアのドンにもなれる器だったのだろう。

「ゴッドファーザー」役のマーロン・ブランドの貫禄ある見た目と迫力、渋い掠れ声がめちゃめちゃカッコよくてとても印象的だった。
マフィアといえばこんな感じ、というイメージを前面に出した重厚感のあるいい意味で暗い映画だった。

その他の記事