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レインメーカー / 正義を貫くために奔走する新米弁護士

レインメーカー、弁護士の間では「大金を降らせる者」みたいな意味があるらしい。
裁判を起こして、多額の保証金や賠償金を勝ち取ることで、自身にも多額の報酬を手に入れることができる。
大金を稼ぐことに味をしめた弁護士は、小銭を稼ぐことよりも、多額の報酬を払ってくれるクライアントの弁護を請け負うことが多い、だろう。
企業は不正などをお金の力でもみ消し、自身の保身を図る。
彼らを弁護する側に立つ者は、クライアントが黒だとわかっていても、弁護を引き受けた以上、全力で裁判に勝たなければならない。
たとえそれで被害者が甚大な損害を受けていたとしても、その事実に目を瞑り、お金を払ってくれるクライアントの方が大事になってくるのだろう。
多額の報酬に目が眩んだ弁護士は、弱者が苦しもうと気にしなくなるほど、良心が麻痺してくるのかもしれない。

主人公のルディから言わせれば、そんな弁護士たちは「魂を売った」存在なのだろう。
弁護士を志す者は、少なからず社会の不正を正したい、虐げられている弱者を助けたい、という気持ちが最初はあっただろう。
ルディは家庭環境の悲惨さから、弱者を助けたい、守りたいと感じるようになり、法律家を目指すようになった。
社会の陰で悲しんでいる者に光を当て、不正を正し、損害を与えた相手にきちんと罪を償ってもらう。
弁護士とは弱者に寄り添う存在だと信じているからだ。

新米 vs 古参

ルディはまだ司法試験に合格していなかったが、酒場でアルバイトをしながら困った人に声をかけ、案件を獲得していた。
その中でルディは、大手の保険会社から保険金が支払われずに困っている家族の弁護を引き受けていた。
保険金が支払われていれば、手術を受けることができ、病気が回復していたはずだった。
しかし 7回もの申請を出したにも関わらず却下され続け、当の青年は病気が悪化し、余命が残りわずかまで削られていた。
ルディは被害者の家族と一緒に裁判を起こしたが、残念ながら青年は公判を目の前にして亡くなってしまう。
ちょうどその時を同じくして司法試験に合格し、正式な弁護士となったルディは、遺族とともに公判に挑むことになる。
相手は手練れの弁護士軍団で、ルディは新米弁護士で初裁判、パートナーは司法試験に落ち続けている保険担当者。
どう見てもルディは劣勢だったが、正義を貫くことに情熱を注いでいる若き弁護士は止められなかった。
通常なら敵を前にして萎縮しそうな場面でも、若さからか勢いからか信念からか、挑発を受けてもたじろぐことなく要求を突きつける。
判事の交代劇など運が回ってきたルディは、臆することなく被害者家族を救うため、亡くなった青年の未練を晴らすため、初裁判にて最大の敵と対することになる。

新米弁護士にしては、忙しく立ち回るルディ。
保険会社の訴訟裁判をこなしながら、もう一方では DVの被害に苦しむ可愛い女性を介抱することにも追われていた。
DVが酷くなり、命の危険を感じていた被害女性だったが、なかなか離婚に同意することができない。
ほとんどの女性が DVに苦しみながらも、どこかで夫が改心してくれることを願って離れられないでいるようだ。
だが、彼女が離婚に同意するのも時間の問題だった。
それほどに夫の暴力は激しさを増していたからだ。

魂を売らないための決断

最終的に、DV被害の女性はルディの手助けによって夫を殺してしまう。
しかし正当防衛が認められ、無罪となった。
同時期に保険訴訟の裁判も決着が月、ルディが受け持った被害者家族にお金が支払われ、損害賠償も認められることとなる。
しかし相手も手練れの弁護士、タダで引き下がることはなかった。
会社は多額の賠償金の支払いができずに倒産し、結果、お金が支払われることもなく、ルディの報酬もなくなってしまう。

弁護士になりたての青年が初裁判にして勝利を収めたことがニュースで取り上げられ、一躍有名人となったルディ。
しかし彼はそこで驕ることをせず、せっかくの弁護士業から身を引くことを決断する。
名声に引き寄せられ、多くのクライアントから依頼が舞い込むかもしれない。
だがその中には、正義とは程遠い依頼が舞い込み、不正を弁護する羽目になるかもしれない。
多額の報酬に目がくらみ、弁護士を志した当初の目的を忘れるかもしれない。
魂を売り渡し、弱者を食い物にする側に回るかもしれない。
そうなるくらいなら、一線を越える前に潔く身を引いた方がいい、との判断からだった。
当初の志をずっと持ち続けている人はそう多くないかもしれない。
報酬と正義を天秤にかけるのは難しい。
ルディのように弁護士になったばかりのフレッシュな時期の方が、正義に対してより敏感ではないかと思う。
弁護士に限らず、業界に長くいればいるほど、目的は移ろいやすくなるだろうから。

それにしても相手方の主任弁護士、トランプ元大統領に似ていたので、最初本人かと思ってしまった。

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