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未来を共創する経営チームをつくる / 社長と役員のチームワークが試される

チーム論を考える本はたくさんあるけれど、その中でも本書は「経営チーム」にスポットを当てて書かれている。
経営チーム、つまり社長や役員を含む、会社の上層部たちのチームワークがどのような状態にあるかによって、会社の業績が上がることもあれば、内紛で崩壊することもある。
上層部たちがまとまっているか、会社のことを中心に考えているか。
それとも自身の保身を第一に考え、役員や社長に不満を持っているのか。
経営チームのチーム力が、良くも悪くもそのまま会社の業績に反映されてしまうので、会社のためにも、企業のためにもチーム力をつけましょう、ということ。
著者は元ラガーマンということもあり、スポーツに絡めた例えを用いている。
スポーツの世界でも、監督の下にはそれぞれのコーチがいて、彼らの連携の度合いによって、チーム全体の功績やパフォーマンスに影響してくる。
会社も同じこと。
社長と役員の連携が取れていることで、会社全体の業績や社員のモチベーションに影響してくるのだ。

双方向の意見交換

起業当初は、社長と役員の間のつながりは強く、会社のパーパス (考え方) についてずっと話し合ってきた。
やがて会社が大きくなるにつれてお互いが忙しくなり、パーパスよりも目標を重視するようになってくる。
目標を達成することにこだわり、お互いのことに目をやれなくなり、距離が遠くなって、保身に走るようになる。
自分が受け持っている担当の部門だけを面倒見るのに忙しくなりがちで、他の役員の受け持ちにまで気を配ることができない、というのはよくありがちだ。
自分の部門は結果を出しているのに、他の部門が足を引っ張って業績が伸び悩んでいる、と強すぎるエゴにより他人に責任を押し付けがちにもなる。
そうではなく、「チームとして何を達成するか」という目標を掲げ、お互いが助け合う関係にならなければ、会社に未来はない。

経営チームメンバーの間には、社長と役員の縦のコミュニケーションと、役員同士の横のコミュニケーションのつながりの強さが大事である。
どちらか一方的なものではなく、お互いが双方向のやり取りを綿密にすること。
立場の差によって言いたいことを言わずに溜めておくような関係は健全ではない。
意見の対立があったとしても、お互いの考えを直接伝え合うことを恐れてはいけない。
意見の対立は、新しい視点で考えるクリエーションのきっかけを作ることにもなる。
ここで注意しないといけないのは、対立しても「敵対」したらダメだということ。
敵対してしまえば、ますます会社を傾かせることになる。

エゴを抑え大きな視点に立つ

会社の幹部に抜擢されるような人物は、さまざまな競争を勝ち抜いてきているだろう。
その中の多くは、高い学歴や実績、能力を持っている人が多いはずだ。
コンサルをやってきた著者によると、経歴や実績を評価されて「幹部に選ばれた」人たちは、強い自負と責任感を持った人が多くいるようだ。
悪く言えばエゴが強いということ。
そんな彼らを一つにまとめるのは容易でない、という。
しかし、会社の発展のためには、個人よりもチームの目的を優先させなければならない。
お互いを罵り責任を追及するために対立するのではなく、「この会社の存在意義は何か」「何を達成しようとしているのか」という大きな視点に立って、建設的な意見を戦わせるようにしないといけないのだ。
会社の独自のパーパスと、社長や役員ら自身のパーパスを合わせることによって、主体的に自分事として考えることができるという。

まずは、自分は何をしたいのか wantの部分を明らかにすること。
自分の知らないことは知っている人に教えてもらう素直さを持ったり、改善すべき部分を知るために、周りからフィードバックを得たりと、自分のエゴを捨て、会社のパーパスと自分のパーパスを合わせていくこと。
立場が上に行けばいくほど、人は凝り固まってしまいがちになる。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」のように、重役こそ謙虚な心を持って、お互いが協力できるように力を合わせなければいけない。
経営チームは会社を傾かせるほどの影響力があるからこそ、チーム力が試されるのだ。

経営チームにフォーカスされているとはいえ、どんなチームの集まりでも当てはまるだろう。

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