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アス / 同じ顔を持つ不気味な人間が本気で殺しにやってくる

アメリカの地下には、今ではもう使われなくなった、古い昔の廃坑や下水道が張り巡らされているらしい。
昔の建物の上に現在の建物が建てられている、という話をどこかで聞いた覚えがある。
今ではもう使われなくなり、人の記憶から忘れらた地下道。
その地下道がもしひっそりと使われているとしたら。
そこに暮らす住人が、「上」に住む人間と取って代わろうと、虎視眈々と計画を立て、ある日いきなり襲ってきたとしたらどうだろう。
しかも全くの自分と瓜二つの人間が存在していたとしたら。
忘れ去られた空間で、誰も入れないからこそ、そんな「もしも」の空想が興味をそそられるのではないだろうか。

この世のどこかには、自分と瓜二つの人間が存在するかもしれない。
それぞれは普通出会うことがないから、その事実を知らないだけかもしれないし、生活している世界が違うから、出会わないだけかもしれない。
でももし、自分と同じ存在がいることを知ってしまい、今の生活よりも、もう一人の自分の生活が恵まれているとしたら、その立場を入れ替わってしまいたい、と思うかもしれない。
例えば、日の光が当たらない地下道で暮らしている人間からすれば、自由にどこにでもいける人間を羨むことはあるだろう。
そして、入れ替われるチャンスがあるなら、どんなことをしでかすかわからない。

少女のころにビーチで迷い込んだ「自分探しの屋敷」。
お化け屋敷のような建物の中で、その少女は自分と同じ顔をした瓜二つの人間を目撃した。
その日以来少女はトラウマを抱えるようになった。
少女は成長し大人になり、結婚して 2人の母親となった。
彼女の家族は、夏休みにビーチへと出かけ、彼女はトラウマを抱える原因となった、あのビーチへを訪れることになった。
彼女はも一人の自分が、再び目の前に姿を現わすのではないか、と怯えていた。
当初は、トラウマが根強く残っているためなのかと思っていた。
しかし、最後の最後で明かされる真相を知って、本当はトラウマなんかじゃなく、人生を奪われたもう一人が、人生を取り戻すために現れることを恐れていたのではないか、というふうに思えてくる。

確かに、よくよく考えると、自分たちの影となる存在は言葉を話すことができない。
動物のような唸り声を上げることしかできない中で、一人だけ言葉を話せるのは、ストーリー上の設定なのかと思った。
しかし本当の真相を知ることで、彼女だけが話せる理由に納得した。
地下道に棲む影の存在は、知能がないようにも見える。
出来損ないの人間が捨てられる地下道に棲む者は、もはや生ける屍のようなものだ。
そんな彼らの中で、一人計画を立て、規律を正し、装備を整え、チャンスを伺うほどの知性を持つ者。
そしてなにより「復讐」を誓っていることが、なるほど確かにそれはそうだ、と納得できる。
まさに最後の最後でどんでん返しを食らわれた。
影の存在が悪者のように見えていたが、本当は被害者だったのだ、と見方がガラッと逆転する。
ゾクッとするような終わり方がたまらない。

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