waves

ウェイブス / 苦しみの中にも希望はある

2年ぐらい前の映画なんですけど、予告を見てて、なんだか映像に凝ってそうだな、男女ものの恋愛系みたいで (普段はあんまり観ないけど) ちょっと気になるな、と思っていて、でも結局観ていなかったんですが (よくある) 、NETFLIX で配信しているのを知って数年の時を経てようやく観ました。
なんといってもヴィジュアルが美しいですよね。
こういう芸術的なポスターは、好奇心をくすぐられます。
そして肝心な中身は、確かに恋愛物ではあるんですが、痛みのある恋愛というか、家族の話というか、でも最後に希望を持たせる感じに仕上がっているというか。
思うところは多々ありました。
あとやっぱり映像に工夫がしてありました。
「Wave」は「波」という意味もあるけど、「段階」というふうな意味もあるらしい。
この映画は後者の「段階」という意味がしっくりくるような感じがした。
前半は高校生の青年、後半はその妹視点の話、というような。

前半の男子高校生はレスリングに打ち込んで、大会の優勝を狙っている。
詳しいところは忘れてしまったけど、多分優秀な成績を収めたら、大学受験に有利になる意図も含んでいるのだろうと思う。
厳格な父親の元、文武両道を磨いている。
プライベートでは彼女も居て有意義な生活を育んでいた。
そんな彼に暗雲が立ち込める。
レスリングのやり過ぎで肩を痛めてしまったのだ。
医者がいうにはもう相当やばい状態で、これ以上の試合は無理だとドクターストップがかかってしまう。
しかし彼は最後の大会まで出場したい、それが終われば引退できると食い下がるも、状況は深刻。

彼の父親も有無をいわさないようなタイプの男で、息子の話などてんで聞こうとしない。
自分の言いたいことを言い、黒人である自分たちは苦労をしないと成功を収められない、今お前がこうして不自由なく暮らしているのも自分の頑張りがあってこそ。
お前たちのためなんだからな、と相当なステレオタイプ。
こんな期待している父親に「もうレスリングは出来ない。
体を壊してしまうから」といえない息子。
本当はいったほうがいいんだけれど、結局いえずじまいな彼はそのままレスリングを強行、結果、試合中に肩を痛め療養に。
父親は「あいつは何もいわなかった、家族に嘘をついていた!」
と喚き散らす始末。
いや、お前が人の話を聞こうとしない人間だからこうなったんだろうよと。

そんな最悪の時期の彼に、さらに事件が重なる。
愛し合っていた彼女が妊娠してしまったのだ。
高校生という若い時期に子供を育てるのは難しい。
青年は育てるのは無理だ、堕ろしてほしいと頼むも、彼女は結局生むことを決断。
子供の是非について意見が衝突し、彼女からブロックされてしまった青年は、謝って関係を修復しようと彼女に接近するも、誤って彼女を殺してしまう。
すぐさま警察が青年を拘束し、裁判によって有罪、30年の刑を受けてしまう。
順風満帆だった青年の人生が転落したことにより、その家族も心がバラバラになってしまう。
お義母さんは息子の異変に気づいてあげられなかったことに苦しみ、息子の話を聞こうとしなかった父親を蔑み、妹は犯罪家族として見られるようになったことで、人との関わりを避けるようになる。
妹視点から次の Wave へと移り変わる。

大学で人を避けるように、目立たないようにしていた彼女に、ひょんなことからある一人の青年と話をするようになる。
兄が犯罪者だということを知りながらも受け入れてくれた青年。
段々と仲良くなり、恋仲に。
父親との間に確執があった青年。
もうすぐがんで死にそうだと知って、彼女は後悔しないために会いに行こうと勧める。
この出来事をきっかけに、バラバラだった家族の心を取り戻そうとする。
彼女は対話をすることによって相手の本当の想いを引き出した。
もう少し人の話を聞く寛大さがあったら。
もう少し自分の悩みを話せる雰囲気だったら。
もう少し冷静に話し合えていたら。
そしたら結末は違っていたかもしれない。
最悪な結果を防ぐポイントはいくつかあったはずだ。
振り返れば結果論でしかないけれど、自分だったらどうするか、自分の態度はどうなのか、振り返るきっかけになるのではと思う。

各段階のときに、画面が狭まったりする演出で、人の心の状態を表現しているように感じた。
殺人のシーンでは極端に画面を狭めて、焦り、戸惑い、混乱、不安などを掻き立てるような演出が印象的だった。
最初は悲しく落ち込むような物語だけど、事件を乗り越えて希望を抱かせるような終わり方になって良かった。
ポスターからただの恋愛映画かと思っていたけど、それだけじゃなかった。

その他の記事